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カーボン・オフセットの現場に潜入する

地球温暖化からサンゴ礁を守ろう

地球温暖化からサンゴ礁を守ろう

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの活動をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回潜入するのは、沖縄県浦添市にある一般財団法人沖縄県環境科学センターです。センターのみなさんはどのような想いをもって活動されているのでしょうか。行ってみましょう!

沖縄の美しい自然資源を守りたい

沖縄の美しい自然資源を守りたい

沖縄の島々を包むように形成している、サンゴ礁。沖縄の海がエメラルドグリーンに美しく輝いているのは、海底にサンゴ礁があるからなのだそう。
そのサンゴ礁を保全するための活動や、やんばるの森などの環境調査活動をしているのが、沖縄県環境科学センターです。県内で幅広く環境保全活動をしている組織で、サンゴ礁調査船「Varuna」を保有しています。
サンゴ礁の実態調査やサンゴを食べてしまうオニヒトデの調査を行うため、この調査船に乗り込み、ダイバーとして海に潜ったり、水質調査をしたりしている調査員の一人が、環境科学部・自然環境課の山川英治さんです。

山川さんに、そもそもサンゴ礁はなぜ大事なものなのかをたずねると、こんなお話をしてくれました。

「サンゴ礁は、沖縄にとってなくてはならない自然資源です。理由は、おもに三つあります。一つは、サンゴ礁は生物の宝庫であり、魚介類や海藻類がとれる漁場になっていること。ダイビングなどの観光資源にもつながっています。
二つめは、自分たちが住んでいる“土台”がサンゴ礁であること。沖縄の多くの島はサンゴ礁でできています。また、サンゴ礁は“自然の防波堤”でもあります。沖縄の場合、サンゴ礁は陸地からある程度離れたところに形成されます。これがあると、台風や強風などで海が荒れても、大きな波から陸地は守られるんです。
三つめが、サンゴ礁と人との関わりです。沖縄にはニライカナイ信仰や伝統行事(浜下りやハーリー)などサンゴ礁に関わる文化があります。沖縄の古い民家のまわりにある石垣はサンゴの骨を利用していますし、各民家に置かれている魔除けのシーサーもサンゴの骨を使った琉球漆喰で作られます。それに、浜辺の白砂も、サンゴや、そこに住む貝などの骨が細かくくだけたもの。琉球文化や人々の暮らしと密接な関係があるんですよ」(山川さん)

サンゴ礁を守るために行う重要な調査

サンゴ礁を守るために行う重要な調査

しかし近年、サンゴ礁は危機的な状況にあるのだとか。
その大きな原因として考えられているのが、地球温暖化で海水温度が上昇したことによるサンゴの白化現象。沖縄では1998年に大規模な白化が起こり、多くのサンゴが死滅したといいます。
「現在、西表島などでは再生が進み、状態の良いサンゴ礁が確認されているものの、残念ながら沖縄島(本島)周辺はあまりよくない状況です。
サンゴ礁が劣化した状況をなんとかするために、まずは現状を把握することになり、沖縄県全域のサンゴ礁の調査を実施しました。90年代に行われた調査以降、同じ規模の調査がなく、重要な任務でした。」(山川さん)

沖縄県環境科学センターの調査によって、沖縄県全域のサンゴ礁の現状を把握できたそうです。それらは、今後保全の対策をするうえで貴重な資料となっているといいます。

また、サンゴを食べてしまうオニヒトデの大量発生、赤土等の流入など様々な要因によってサンゴが失われました。沖縄県環境科学センターでは、オニヒトデの調査も行っているそうです。

山川さん

「実は、サンゴを食べて大きな問題となっているオニヒトデは、なぜ大量発生しているのかというメカニズムが、はっきりと解明されていません。
一般の方からは『サンゴを守るのに、どうして水質調査をしているの?』と思われるかもしれません(笑)。でも、実は無関係ではないんですよ。オニヒトデが増えてしまう原因となる植物プランクトンを調べる、大事な作業の一つなんです。
今後、大量発生の原因をつきとめて、根本的な対策に結び付けたいと思っています」(山川さん)

調査船航行中のCO2をカーボン・オフセット!

サンゴ礁の状態は、地球温暖化とも深くつながっている。だからこそ、環境調査が与える環境への負荷を最小限にしたい??!
そう考えたのが、環境科学部・生活環境課の迫田拓さんです。

迫田さん

「当センターでは環境への影響を低減するために、以前からサンゴを傷つけない調査方法などの取組を行っていました。私たちの活動と地球環境保全はとても深い関係があるので、保全活動をさらに推進したかったのです。
そこで、サンゴ調査船から排出される二酸化炭素(以下、CO2)の量について、カーボン・オフセットを実施することにしました」(迫田さん)

沖縄県環境科学センターの調査船「Varuna」は、軽油を燃料としています。その使用量から、航行中に排出されるCO2の量を算定できるため、迫田さんは一年間の軽油使用量から年間のCO2排出量を 計算して、カーボン・オフセットを行いました。2012年11月には、環境省のカーボン・オフセット認証も取得しています。

調査船航行中のCO2をカーボン・オフセット!

「Varuna の運航で年間に10tほどのCO2が排出されるので、それを全部オフセットしています。
せっかくですから、自然環境保全と関係のあるクレジットでオフセットしようと考え、長崎県対馬市の森林プロジェクトで創出されたクレジットを活用することにしました。間伐によって森林を整備しCO2の吸収を促進するプロジェクトで、その収益は基金として、対馬の森に住む絶滅危惧種のツシマヤマネコなどの動植物保全に使われています」(迫田さん)

まさに一石三鳥!? 可能性のある仕組み

実際に始めると、センターのスタッフが地球温暖化という見えにくい問題のことをイメージしやすくなり、カーボン・オフセットへの理解がより深まったと感じているそうです。
特に、調査船「Varuna」の船長・比嘉さんはより燃費のことを考えるようになったとか。
比嘉さんに話を聞くと、「私は月に7、8回ほどVarunaで海に出ます。Varunaは全速力だと時速30ノット、つまり時速54kmでるのですが、ふだんは18?20ノット、時速約30kmで走っています。燃料の節約になりますし、CO2の排出も少なくなるため、エコな運転を心がけていますよ」という頼もしい答えが返ってきました。

まさに一石三鳥!? 可能性のある仕組み

迫田さんにカーボン・オフセットの魅力を聞いてみました。

「このカーボン・オフセットを通じて、当センターのサンゴ礁保全などの活動をしながら、対馬の動植物の保全活動にもつながり、地球温暖化対策にもなるという三つのことに同時に関わることができる点がすばらしいですね」(迫田さん)

人と人、地域と地域がつながるきっかけに

さらに迫田さんは、カーボン・オフセットの仕組みがおもしろいのは、クレジットの購入を通じて、創出先との交流が生まれたことだといいます。

「それまではまったく関わりがなかった団体とのお付き合いが始まるとは想定外でした。沖縄は島なので、どうしても他県とのつながりが生まれにくいところがあります。
でも、カーボン・オフセットをきっかけに当センターの交流範囲が広がったのです。環境系のイベントで直接会ってお話ししたり、こちらで開催するイベントに来ていただいたりしています。イベントなどで、先方が当センターのオフセットの取組を紹介してくださったこともありました。
私自身も対馬や森林整備のことに興味を持ち始め、視野が広がりました。まさにこの仕組みは人と人、地域と地域がつながるきっかけになっていますね。こんな風につながりが広がっていくとは思っていなかったので、カーボン・オフセットのおもしろさを感じています」(迫田さん)

カーボン・オフセットが環境にいい仕組みだということをたくさんの人に知ってもらいたいと語る迫田さん。イベントなどで、カーボン・オフセットについて一般の方に紹介しているそうです。
「カーボン・オフセットの説明をすると『いい仕組みだね』と言ってもらえることが多いんですよ。なかには、『実際に自分もやってみたい』と興味を持ってくれる方もいらっしゃいます。これからも活動を続け、一人でも多くの方にカーボン・オフセットのこと、地球温暖化のこと、サンゴ礁の保全のことを伝えられたらいいなと思っています」(迫田さん)

一般財団法人沖縄県環境科学センター

沖縄県浦添市経塚720

電話番号098-875-1941
ホームページhttp://www.okikanka.or.jp/
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