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カーボン・オフセットの現場に潜入する

国産素材の心地いい木造住宅が、森を救う ~ヤベホーム株式会社の「日本伝統建築を支える森と木造住宅」~

国産素材の心地いい木造住宅が、森を救う

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回潜入するのは、長崎県諫早市で環境にも人の体にもやさしい家づくりを行っている、ヤベホーム株式会社です。
代表取締役社長の矢部福徳さんに、注文住宅のモデルハウスを見せてもらうことになりました。
どのようなお話が聞けるのでしょうか。行ってみましょう!

100%自然素材の木造住宅とはどんなもの?

「どうぞ、入ってください」
諫早市内にあるハウジングパーク「木のコトひろば」に到着すると、矢部福徳さんが言いました。
案内され、モデルハウスに入ると、室内に漂うヒノキのいい香りが…!
なぜか、ひんやりとして心地いい空間です。

100%自然素材の木造住宅とはどんなもの?

「国産のヒノキや高千穂のシラス壁など、国産で自然素材の健康・省エネ建材を100%使った木造の家なんです。建材のそれぞれに調湿効果があるので、快適な空間を保てるんですよ。ほら、見てみてください」(矢部さん)

矢部さんがそう言って壁に霧吹きの水を吹きかけます。すると、壁が水をスーッと吸収していくのです。
資料によると、2011年6月のデータでは、外の湿度が90%のときに、この家の室内は54%。同年8月のデータでは、外の湿度が64%のときに、室内は49%。
自然素材が水分を吸って蓄えたり、吐いたりすることで、空間の湿度が50%前後に保たれるそう。それで心身がくつろぐような心地よさをおぼえたのですね。

100%自然素材の木造住宅とはどんなもの?

CO2に配慮された「カーボン・オフセット住宅」

ヤベホームでは、そうした木造住宅の1棟につき、水道や冷暖房などの日常生活から排出される1年分のCO2をカーボン・オフセットする取組を行っています。
創出元は、長崎市で木材の販売をしている真樹販売株式会社。同社の「長崎県の日本伝統建築を支える森のCO2吸収事業」で行われる森の整備によって発行されたクレジットを活用しています。家が建つごとに森林に還元されていく興味深い仕組みです。
CO2の推計量は、1棟で年間6t。16棟を対象としているため、96tをオフセットしているそうです。2014年6月にはカーボン・オフセット認証も取得しました。

「算定排出量は、一般的な住宅の日常生活から推計されたものです。でも、対象となっている弊社の木造住宅は、CO2の排出にも配慮しているんです。
例えば、断熱材に木質繊維系のセルロースファイバーを使うことで石油製品使用をおさえた上でエアコンの使用を減少させることができます。また、県産材を活用することで輸送にかかるCO2排出量を削減したり、エアコンに『こまめにスイッチ』を標準設置して待機電力をカットしたりしています」(矢部さん)

まさに、「カーボン・オフセット住宅」。一般住宅と比べるとCO2の排出量は約半分だといいます。

対象の16棟は既に完売。引き渡しまで終えた住宅や、現在着工中の住宅もあり、月に2棟ずつ完成させているそう。

CO2に配慮された「カーボン・オフセット住宅」

「利益の5%を社会貢献に使う」という目標

カーボン・オフセットに熱心に取り組んでいるヤベホーム。そもそも、この取組に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

「実は、私の娘が障害をもっていて病弱だったんです。娘の入院を繰り返すなかで、国からの支援も受けていましたので、『家族の幸せづくりができる住宅会社をつくって、社会へ貢献したい』という思いで、29歳のときに創業しました。今から27年前です。当時は毎日200軒ほど飛び込み営業をして、修理や小さなリフォーム工事をしていました」(矢部さん)

娘さんは、酸素を充分に吸うことができない低炭素脳症で苦しんだそうです。矢部さんが、間伐などの手入れがきちんとされている森林へ連れていくと、酸素が吸いやすいのか、呼吸がラクになって顔に赤みがかかっていたといいます。
矢部さんはその頃から、健康的な森林の重要性を感じていたようです。娘さんは、今から6年前に他界されました。

そんな矢部さんが、創業当時から決めていたことがありました。それは、経常利益が1,000万円以上出た際に、その5%を社会に還元すること。社会貢献への熱い想いがあったのです。
でも、1,000万円とは、簡単に出るような成果ではありません。それでも懸命に働き、創業から15年ほど経った頃にようやくその目標を達成します。
5%は、地元のサッカーチームや福祉団体などに貢献していたとか。

そうした活動を続けていた2013年、ある出会いがありました。
「それまで、環境問題に貢献できるようなシステムがあることを、知らなかったんです。真樹販売さんからカーボン・オフセットの存在を教えてもらい、『そういうのだったら良かねぇ!』と気に入って、すぐ始めることにしました。思い立ったら即実行! ですよ(笑)」(矢部さん)

会社の自己活動もオフセットし、社員の意識改革

ヤベホームは、さらに「自社の活動として」、もう一つのカーボン・オフセットを行っています。
それは、長崎県対馬市の「大陸とのつながりを示す多様な生態系保全のための対馬市有林のCO2吸収事業」。
新築住宅建設にかかる仮設電気使用量、事業所内の電気使用量、水道使用量、社所有車両のCO2排出量…といった、会社の自己活動による排出量を、J-VERを活用してオフセットしているのです。

「対馬のほうは年間25t-CO2を5年契約で合計125t-CO2オフセットしております。
ほかにも、会社に電気自動車を導入したり、社員が通勤時にカーシェアリングをしたり、iPadなどの機器やSkypeを活用して社内打ち合わせのための移動回数を減らしたりしていますよ。
ちなみに、電気自動車のナンバーは『40-20』にしているんです。分かります(笑)?『CO2ゼロ』ですよ」(矢部さん)

徹底された、事業所からのCO2排出量を減らす努力。一年間続けたところ、社員の意識が変わったのだとか。

「鉛筆を小さくなるまで使ったり、無駄なことを省くようになったりして、社員たちの意識が変わってきたんです。仕事を通じて社会に貢献しているんだという意識が、小さい社会ながらも芽生えて、それがお客さまにも伝わるようになりました」(矢部さん)

会社の自己活動もオフセットし、社員の意識改革

環境のためになる住宅は今、人気急上昇

そうした努力は、意外なカタチで実を結びます。なんと、住宅販売における契約率が大きくアップしたそうです。

「通常、家を買うにはまず10社くらいにあたってから、3社に絞り込み、見積もりや図面をとって交渉して決めていくんですね。その3社にお選びいただけることが確実に増えました。
以前は、折り込みチラシをバンバンうって集客をしていたのですが、チラシがあまり必要なくなってしまったんです。年間50万部ほど刷っていたのが、今は5万部です。折り込みチラシにはどうしても無駄になる部分があり、チラシ廃棄時の焼却におけるCO2を減らしたかったんですよね。
結果的に契約率が上がり、1件の契約にかかる経費が約半額になりました」(矢部さん)

矢部さんたちは、お客さまに「売上の一部を、森林整備に使わせていただいていますよ」と説明しているとか。口コミなどで、環境問題に意識の高い人が来社することも増えているといいます。「人も地球も健康長寿な住まいづくり」をキャッチフレーズに地域社会と共存共栄をめざしていきたいそうです。

森のツアーや推進協議会のほか、国体でもPR

ヤベホームでは、真樹販売が所有していた森を「ヤベホームの森」として活用し、「カーボン・オフセット 森林のツアー」を行っています。

森のツアーや推進協議会のほか、国体でもPR

「秋から春の間の年に3~4回、施主様や一般の方を対象に実施しています。森ができていくプロセスとして枝打ちや伐採などの勉強をしたり、1歳になるヒノキの苗木を植樹したりして、森を身近に感じていただいています」(矢部さん)

そんなパワフルな矢部さんは、2013年12月、「ながさきカーボン・オフセット推進協議会」を立ち上げました。
なんと矢部さんが会長。ヤベホームなどの購入側企業と、真樹販売という創出側企業に加えて、対馬市の農林振興課、長崎県の未来環境推進課及び林政課も構成員になり、実に“官民一体”の組織を作り上げたのです。

「実は今、さらに二つのプロジェクトに携わっています。
一つは、『健康省エネ住宅推進協議会』。副会長になり、断熱性・調湿性に優れた健康長寿な家づくりの取組に着手しています。

もう一つ、今秋の『長崎がんばらんば国体』で、期間中にバスなどの車両から排出されるCO2全量を、協賛企業が事前にカーボン・オフセットして「エコ国体」とすることを構想しています。
プロジェクトのための時間は会社がお休みの水曜日しかないので、趣味の週1ゴルフはしばらく中止です(笑)」(矢部さん)

あらゆる角度から社会に貢献したいと情熱的に活動する、矢部さんやヤベホームの取組。今後の展開にも要注目です。

ヤベホーム株式会社

長崎県諫早市永昌町4-36

電話番号0957-25-3188
ホームページhttp://yabehome.jp/
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