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カーボン・オフセットの現場に潜入する

アートを通じて、環境への想いを届ける ~「札幌国際芸術祭2014」を支えるカーボン・オフセット~

アートを通じて、環境への想いを届ける

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回潜入するのは、2014年7月19日(土)から9月28日(日)まで北海道札幌市で開催されている「札幌国際芸術祭2014」。
実際に芸術祭を体験しつつ、地域ディレクターの端(はた)聡さんと、札幌市観光文化局国際芸術祭担当部の佐々木麻衣さんに、開催への想いをうかがうことになりました。
どのようなお話が聞けるのでしょうか。行ってみましょう!

札幌市内のいたるところにアートが!

今回初めて開催されることとなった「札幌国際芸術祭2014」。札幌市内の7会場を中心に市内各所で展開されることとなった、街をあげての大きな芸術祭です。開幕後、約1か月で20万人を超え、現在も多くの人が道内外から訪れています。
ゲストディレクターに、世界的に著名なアーティストである坂本龍一さんを迎えたことで話題になり、その存在を知った人も多いのではないでしょうか。

テーマは「都市と自然」。
北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)や北海道庁赤れんが庁舎、札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」、札幌市資料館、モエレ沼公園など、市内のいたるところで芸術祭が展開されていました。

さらに、その中核の会場となる「札幌芸術の森美術館」と「北海道立近代美術館」で開催期間中に使用するエネルギーと、主催者の公共交通機関を利用した移動から排出されるCO2をカーボン・オフセットする取組が行われ、都市の営みと自然への環境負荷とのバランスを考えた芸術祭にもなっているのです。

札幌市内のいたるところにアートが!

まずは、中核の会場の一つ「札幌芸術の森美術館」に行ってみました。
緑豊かな環境のなか来場者を出迎えるのは、中庭に設置された中谷芙二子の“霧の彫刻”の新作、《FOGSCAPE #47412》。8分間、霧が発生する美しいアートです。来場者はそれを鑑賞するだけでなく、体感することもできます。

その他、館内には木彫の作品や和紙を使ったインスタレーションなど、木や森をモチーフとした多様な表現が提示されています。“自然”を感じたり、考えさせられたりする内容になっているのです。

そして、もう一つの中核の会場「北海道立近代美術館」は、炭坑の歴史やエネルギーの在り方など、北海道と日本の近代化の歩みを振り返りながら、これからの“都市”のあり方、暮らしを見つめ直す内容になっているとか。 2館を巡ることで、テーマである「都市と自然」を感じとることができるのです。

約半世紀の地元の想いを経て、開催

街をあげての、これほど大きな芸術祭。
札幌中がアートで埋め尽くされながらも、どこか洗練された雰囲気が漂っています。
どんな方たちが仕掛けているのでしょう…?

そこでお話をうかがったのが、地域ディレクターの端(はた)聡さんです。ゲストディレクターである坂本龍一さんのコンセプトやイメージを、地元でどう具現化するか、アーティストや関係者といかに連携を結ぶかという点などで尽力された、本芸術祭の仕掛人のお一人。北海道に生まれ、札幌で育ったそうです。
「札幌国際芸術祭2014」は、どれくらいの準備期間を経て開催されたのでしょうか。芸術祭開催に込められた想いを、会場の一つ、札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」でうかがいました。

「実は、本芸術祭のルーツであるアートの民間運動が札幌で始まったのは1960年代後半です。当時、アーティスト側に国際的な発信をしたいという想いがあり、先人たちがすでに運動していたんです」(端さん)

ご自身もアーティストである端さんは、一年間ドイツに滞在し、世界的に有名な芸術祭であるベネチアビエンナーレなどを直接体験したそうです。
札幌で先人たちの活動を見ていたこともあり、ヨーロッパで子どもや大人がアートを楽しんでいる様子や、芸術祭がアートツーリズムにもなっていることを目の当たりにし、「札幌で国際芸術祭をやりたい!」と強く感じたといいます。

約半世紀の地元の想いを経て、開催

「ぜひ札幌でやるべきだ! と思ったのは、1995年のことです。ですから、構想何年の芸術祭なのかと聞かれると…、どこからをいうのでしょうね? 約半世紀の地元の想いをのせて、やっと開くことができました」と笑う、端さん。
ヨーロッパを中心にアーティスト仲間を少しずつ増やし、2005年頃から、彼らを招いて札幌で展覧会を開くようにしたそうです。
「もちろん国際芸術祭を見据え、実現に向けて活動していましたが、あくまで民間レベルの活動です。補助金なども一切いただかずに活動していました。その頃は、こんなに早く、2014年に実現できるとは思っていなかったんです」(端さん)

端さんは、坂本龍一さんによる「都市と自然」という札幌国際芸術祭2014のテーマへの想いをこう語ります。
「北海道は日本の近代化を支え、大きく貢献しました。北海道は時代の証言者でもあるわけです。でも、夕張は破綻して光と影を味わいました。そこで私は『近代化って何なのだろう』と深く考えさせられたんです。
エネルギー源は、北海道の石炭から1960年代に石油へ転換した後は、さらに原子力にまで進み、原発事故が起こりました。
近代化とは何なのか、もう一回原点に立ち返って自然との共生を考えないと、手遅れになってしまう。産炭地があった北海道だからこそ、このテーマで、アートを通じて世界に訴えかけたいと思いました」(端さん)

札幌市は、政令指定都市でありながら、中央部に原生林が今もなお残っている、世界でも珍しい都市です。北海道の歴史や想いをたずさえながらも、今もなお自然と共生している札幌だからこそ、発信できるものがあるのでは――。
「札幌国際芸術祭2014」には、そんな想いが秘められていたのです。

二つのカーボン・オフセットを導入

また、「札幌国際芸術祭2014」を語るうえで欠かせないのが、環境に配慮された芸術祭であるということ。

冒頭でも紹介したように、中核の会場の2館で使用したエネルギーと、主催者が公共交通機関で移動するのに使うCO2のオフセットの取組が行われています。
札幌市観光文化局国際芸術祭担当部の佐々木麻衣さんは、こう教えてくれました。

「アートを通して環境問題を見つめ直し、暮らしがどうあるべきかを考えていけるような芸術祭にしたいと思っています。
カーボン・オフセットは2月に認証を受け、クレジットの購入先をどこにするか、今検討しているところです。北海道の森林に還元できるようなところを選ぶ予定です」(佐々木さん)

さらに、もう一つ、カーボン・オフセットを行っているそうです。
「坂本龍一さんは環境意識のとても高い方で、坂本さんご自身のライブイベントなどでカーボン・オフセットに取組まれていたんですね。それを、当芸術祭でも取り入れることにしました。」(佐々木さん)

二つのカーボン・オフセットを導入

チケット料金には、国民一人当たりが一日に排出するCO2約6kgのうち、1kg分をカーボン・オフセットする費用が含まれています。
この芸術祭に参加することが、カーボン・オフセットへの参加にもなる。「都市と自然」というテーマを掲げた芸術祭らしい、環境への配慮です。

認証を得てからは、運営側であるスタッフ自身が、各自の担当事業のなかで環境への負荷を意識するようになったといいます。
「中核の会場の2館をつなぐシャトルバスを運行させたり、貸し自転車(ポロクル:札幌市が推進するサイクルシェアサービス)を設置したりしました。マイカーよりも、シャトルバスや公共交通機関、自転車でのご来場をおすすめしています。
スタッフ自身、自転車で移動することが増えていますよ。私自身も、通勤に自転車を使うことが増えてきました」(佐々木さん)

2014年9月24日には、特別連携事業として「さっぽろふるさとの森づくり植樹祭&育樹祭2014」が行われます。1万本を植樹し、さらに「育樹祭」として間伐も行う予定です。
坂本龍一さんが主宰する森林保全団体である一般社団法人more treesが、実行委員会との「森林と通した環境保全に関する協定」のもと、クラウドファウンディングを実施したところ、寄附金約100万円が集まったとか。それを、苗木に活用することになっているそうです。

「札幌国際芸術祭は、作品を通じて自然の大切さについて考えたり、芸術祭全体から環境保全の必要性を知ったりできる、そんな貴重な機会になるはずだと考えています」(佐々木さん)

「芸術祭を通じて、都市と自然の共生のあり方を考えることこそが、札幌が環境都市として何を目指していくべきかということにもつながるのだと思います」(端さん)

アートを楽しみながら「環境問題に取り組もう!」という機会にもなるのであれば、そんなに素晴らしいことはないですよね。ぜひ、ご体感ください。

創造都市さっぽろ・国際芸術祭実行委員会

電話番号札幌市コールセンター
TEL:011-222-4894(年中無休 8:00~21:00)※日本語、英語、中国語、韓国語の4ヶ国語対応
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