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カーボン・オフセットの現場に潜入する

家庭で愛でる、小さな自然から始めよう ~株式会社和大地の「こけだま」でカーボン・オフセット~

梅干でおいしく参加! 環境への一歩

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回潜入するのは、家庭で楽しめるこけだまキットの販売や、こけだまワークショップの開催を行っている株式会社和大地。
代表取締役の和田徳之さんに、こけだまと環境のつながりや取組への想いをうかがいます。
実際にワークショップにも参加することになりました。行ってみましょう!

日常生活で出る半日分のCO2を、こけだまでオフセット

こけだまを知っていますか? 字のごとく、日本庭園や盆栽に欠かせない存在の「苔」を使って土を球体に形作る、鉢のない観葉植物です。今や家庭でカジュアルに楽しめるインテリアとしても人気のアイテム。
和田徳之さんの率いる株式会社和大地が開催しているのは、そのこけだまを自作することができるこけだまワークショップです。
「みどりのともだちを作ろう!」をテーマにした「みどりのともだちプロジェクト」として、土や植物に触れる機会が減ってしまった子どもや大人を対象に、幼稚園や保育所、企業などで開催されています。

注目すべきは、カーボン・オフセットされているところ。
2014年3月には認証を取得。販売しているこけだまキットの取扱説明書に、認証ラベルが掲載されています。

こけだま1個につき、電気や水、燃料の使用やゴミの廃棄といった日常生活で生じる1人当たりのCO2排出量の半日分にあたる3kgがオフセットされているのです。
なぜ半日分かというと、こけだまワークショップの参加にかかるトータルの時間を半日ととらえているから。

「宮城県栗駒木材による木質ペレットボイラーでの温室効果ガス排出削減事業」によりオフセットされています。
つまり、和大地を通じてこけだまを一つ作ると、宮城県の森林資源の活用に貢献することができるのです。
「こけだまの活動をきっかけにして、バイオマス燃料を広めようと活動している栗駒の方たちと知り合うことができました。環境のことをみんな色々な角度から考えているんですよね。これをご縁に、彼らの活動に何かしら還元できるといいなと思ったんです。
ぼくは都市部と地方をどうつなげていくかということにも興味があり、事業のサポートや地域活性につながればという想いもあって、創出先として選びました」(和田さん)

子どもも大人も、こけだまづくりに挑戦!

いよいよ、こけだまワークショップへ…!
親子やカップルを中心に人気で、満員になることも多いそうです。
今回は都内の「夢の島熱帯植物館」へうかがいました。

もちろん、講師は和田さんです。参加者には子どもが多く、みんなワクワクしている様子。
はじめに和田さんから、こんなお話がありました。
「今日はこけだまを作ったら、家へ持って帰って、みんながこけだまの面倒をみるお父さん・お母さんになります。植物への思いやりの心を育みましょう」

まず、準備されたパキラやアイビーなどの植物から一つを選びます。
次に、植物の根元を包むための黒い土に触ります。この土、ケト土といって肥料成分を含んでいることや、水もちのよさが特徴だそうです。

「冷たい!」、「やわらかい!気持ちいい」などと口々に言う参加者たち。
この土にスギの木の皮を屑にしたものを混ぜ、水はけのいい土を作っていきます。
ハンバーグをこねるときのように、水を足しながら混ぜ合わせます。
「土に触ると、落ち着くね」と、親子で参加中のお母さんが我が子に話しかけていました。

混ぜ終わったら、その土で植物の根元を包みます。土の団子から植物が出ている状態になりました。
そのあと、ハイ苔という種類の苔をお皿にほぐしながら広げ、霧吹きで水をたっぷり与えます。
水を吸うと苔はその緑色を深め、シャキッとして元気になります。
団子を湿った苔で包み、糸でおさえるようにしばって……、糸の端をピンセットで入れこめば、完成です!

自然を愛でるためのちょっとした工夫

仕上げに、和田さんがこだわっている大事な工程があります。
それは、こけだまにボタンやワイヤーなどで目や口をつけ、顔を作ること!
「愛着を持っていただくため、みなさんに顔を作ってもらっています。こけだまをデコることから、デコ玉と呼んでいるんです。環境への想いも込めた苔玉なので、エコの要素もある。デコ+エコ+苔玉=デコ玉、なのです(笑)」(和田さん)

「どうしようかな~」
いつのまにか参加者のみなさん、真剣な表情。子ども以上に集中している大人の姿も見受けられます。和田さん曰く、そういう大人はとても多いのだとか。土や苔の感触に、思わず興奮しているのかもしれません。
不思議と、顔をつけると親近感がわき、自作のこけだまが“ペット”のような存在に思えてきます。
次々に独創的な表情やひょうきんな顔、愛らしい表情などが机に並んでいきます。趣向を凝らした作品、どれもかわいい……!

最後に、それぞれ一人ずつ記念撮影。
和田さんによる撮影が始まるなか、集中しすぎてなかなか制作を終えられない子も……。
参加者に話を聞くと、次のような声があがりました。
「思っていたより簡単でした。楽しかった!」
「熱中してしまって、ふだんとは違う頭を使いました」
「うちの子どもが、土いじりの工程をうまくできなかったのが意外でした。でも、あぁでもない、こうでもないと話すうち、親子のコミュニケーションになりましたね」

満足げに笑顔で帰っていく参加者を、うれしそうに見つめる和田さん。
このワークショップには、和田さんの「泥んこ遊びの感覚で楽しみながら、生命への理解や親近感を高めていってほしい」という想いが込められています。
参加者にとって、土や植物に触れて自然を体感するのと共に、自分たちにとって自然環境がいかに大切かを実感できる時間になったのではないでしょうか。

和田さんの想いが集約された、こけだまというツール

和田さんは、もともと人を喜ばせることが好きで、和大地を起業する前は音楽ソフトの大手企業に所属し、ミュージシャンのマネージャーを務めていたそうです。その活動のなかで「社会に貢献できることで、何かエンターテインメントができたら」という想いが芽生え、その後都市計画のコンサルティングや、日本文化にまつわるセレクトショップの立ち上げ、コンビニエンスストアの環境マーケティングなどに携わります。

「カーボン・オフセットの仕組みについて初めて知ったのは、コンビニエンスストアの事業で間伐材に関する仕事のお手伝いをしたときです。仲間がカーボン・オフセットに携わっていたんです。いい取組だと思いましたが、一般の方には少し分かりづらい部分もあるとも感じました」(和田さん)

いろいろな活動のなかで“一般の人が入りやすいような、親しみやすい発信の仕方”に興味を持つようになった和田さんは、「堅い環境などの話をむずかしく伝えるのではなく、敷居を低くして柔らかく伝えていきたい」と考えたといいます。

そんなころ、和田さんは運命の出会いをします。
「こけだまに出逢って、『これだ!』と感じました。素朴でかわいらしいうえに、日常のなかで自然と触れ合うことができます。でも実は、自分が実際に作ってみて、単純に楽しかったんですよ(笑)。
こけだまはコミュニケーションツールになるんです。例えば、親子、友達、恋人、職場の仲間など、みんなで土に触ると心の敷居が少し下がって、優しい気持ちになりやすい。そうした隙き間ができるときこそ、コミュニケーションは生まれやすいと思うんです。そして、現代人が持っている自然に対する心の距離も近づけることができます」(和田さん)

こけだまという日本文化、環境への取組、そしてエンターテインメント性。
それらを融合した和田さんらしいアプローチは、反響を呼んでいます。こけだまワークショップを受けた人の数は、既に7,000人以上だとか。

こけだまは、放っておいても過保護に育てても枯れてしまうため、育てるのにバランスが大切なのだそうです。「かわいがって育てて、長生きさせてほしいですね」と、和田さん。
それぞれの家庭で小さなこけだまが元気に育つことは、その人のなかで自然や環境への想いが大きく育っていくこと──。きっと和田さんは、そうした明るい未来を描いているのでしょう。

株式会社和大地

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