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カーボン・オフセットの現場に潜入する

高校生が学び伝える、環境のこと ~東京都立つばさ総合高等学校の「高校生環境サミット」~

高校生が学び伝える、環境のこと ~東京都立つばさ総合高等学校の「高校生環境サミット」~

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回は、環境への熱心な活動が注目されている都立高校のイベント「高校生環境サミット」へ。サミットを運営している高校生や長年携わってこられた先生に、環境や取組への想いをうかがいます。
さぁ、行ってみましょう!

環境意識の高い“エコスクール”のイベントへ!

大田区にある、生徒の個性を重んじる自由な校風の学校、東京都立つばさ総合高等学校。
総合的な学びや体験学習、キャリア教育を通じて、生徒が目標や夢を発見できる場になっていることが特徴です。2、3年次のほとんどの科目は選択制で、生徒自らが時間割をデザインして学べるそうです。

環境教育にも力を入れていて、都立高校として初めて、2004年に国際的な環境マネジメント規格である「ISO14001」の認証を取得しました。環境負荷を減らす仕組をもっていることが評価される規格です。
同校は、環境教育や環境保全活動などの成果が認められ、平成19年度には「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」環境大臣賞、平成21には「3R推進功労者等表彰」、25年度「イオン エコワングランプリ」においてそれぞれ文部科学大臣賞を受賞しています。

さらに注目すべきは、「ISO14001」の認証を取得した2004年から、誰でも参加できる環境系イベント「高校生環境サミット」を毎年開催していること。
2014年11月、「第11回 高校生環境サミット」が開催されることになりました。
どのようなイベントなのか、潜入してみましょう!

校内の会場へ入ってみると、全国の高校や大学、企業といった各団体によるパネル展示、エコクッキングやクラフト講座などの体験企画ブースがずらりと並んでいます。お休みの日であるにもかかわらず、大勢の人で賑わっています!
サミットの企画運営を行っているという、同校のISO委員会のブースを訪れました。
ISO委員会とは、生徒が環境にまつわる活動を行う組織で、風紀委員会や図書委員会などの各委員会と同様に全学年の各クラスから選ばれているそう。実に“エコスクール”らしい委員会です。

高校生がパネルやマンガで伝えるカーボン・オフセット

パネルの前で、女子生徒が数人、訪れる人々に説明を行っていました。
「このサミットでは、カーボン・オフセットの仕組みを導入しています。カーボン・オフセットとは、地球温暖化の防止をするための取組の一つで、出してしまったCO2のうち、どうしても減らしきれない分を、CO2を減らす取組をしている団体の力を借りて、埋め合わせするものです」

なんと、このサミットで排出された分のCO2がカーボン・オフセットされているそうです!
各団体が森林を適切に管理することでCO2をより多く吸収した分を「クレジット」と呼び、そのクレジットを購入することで、自分たちが排出してしまった分を埋め合わせることができる、というカーボン・オフセットの説明をしています。
高校生ならではの言葉で一生懸命話す姿に、通りかかる大人たちが足を止め、聞き入っていました。
「このブースでは、これから紹介する4つの団体が生み出したクレジットから、一つ選んで投票していただきたいと思います」(弘中初季さん)

生徒から、新潟県津南町で山や湖、川の保全活動をしている「竜神の森」、新潟県佐渡市でトキの住む環境を守る活動をしている「トキの森」、岩手県の森を手入れし、売上金の一部を陸前高田の復興支援金として募金している「森林吸収量取引プロジェクト」、山梨県で富士山麓の県有林の整備を応援する「やまなし県有林活用温暖化対策プロジェクト」の4団体の活動について説明がありました。
人々は熱心に聞き入り、シールで投票をしています。

さらに同ブースで、イラストの描かれた小冊子が無料配布されていました。
表紙には「カーボン・オフセットって何だろう?」とあります。なんと、仕組を高校生の視点で伝えている、手作りのマンガ本なのだそうです!
サミットではこうしたパネル展示のほか、基調講演や意見交換、高校生による実践発表も行われていました。

すべての教室にゴミ箱がない高校

ISO委員会の、古賀光涼(みすず)さん(写真右)と松丸亜香音(あかね)さん(写真左)にお話をお聞きしました。
二人はともに現在3年生。同委員会には1年生の時から入っていたそうです。
そもそもISO委員会とは、どのような取組をしているのでしょうか?

「実は、本校の教室にはゴミ箱がありません。ゴミは、校内の各フロアにあるゴミステーションというところで捨てます。私たちISO委員会は、週に一度そのゴミを分別したり、資源になる紙やプラスチックを取り除いたりしています」(古賀さん)

教室にゴミ箱がないとは、画期的!生徒たちは入学してまもない頃は戸惑うものの、教室を出てゴミステーションでゴミを捨てることに慣れていくのだとか。
ゴミステーションでは8種類のゴミ箱が設置されていて、ISO委員会がさらに28種類に分別しています。生徒たちのゴミや分別への意識は高まり、取組を始める前と比べてゴミは約6分の1に減ったそうです。

また、ほかの活動も。
「月に一度、委員で集まり、毎月発行しているのが『USO800』という広報紙です。ふざけたタイトルではありますけど、まじめに作っているんですよ(笑)」(松丸さん)
実際に『USO800』を見せてもらうと、「今月の目標」が掲げられていました。節電やクールビズ、家からの弁当持参などの月ごとの目標を啓蒙し、さらに校舎の入口に委員が立って呼びかけも行っているとか。
さらに、委員たちは「eco-1グランプリ」などの校外のイベントにも参加し、環境活動を熱心に行っているといいます。

環境活動を通じて、自分自身も成長した

ISO委員会のメンバーは、今回のサミットで紹介することを選んだ4団体に9項目のアンケートを送り、情報整理をしてパネル用の原稿を執筆。さらにパネルのレイアウトをし、サミット当日を迎えたそう。
そうした準備に加え、環境サミットで排出されるCO2の算出や、例のマンガ冊子の制作もしていたのですから、高校生パワーはたくましいものです。
「通常、私たち3年生は引退している時期なんです。でも環境のことに興味があって、積極的に活動していました。楽しい部活のような感じです」(古賀さん)
「顧問の先生に『あまり下級生の仕事を取りすぎないように』と言われたほどだったよね(笑)」(松丸さん)

二人は、この活動に関わるなかで、自分自身が変化していったといいます。
「以前は“環境のため”というと、ゴミ分別や節水をすればいいんだと漠然と考えていたんですけど、この活動で新しいことに挑戦したり、自分で調べたり、自分の見聞を広げることに積極的になりました。行動すると手応えがあって、新しいことを知れるからです」(古賀さん)

「私は入学前、ゴミを分別することは頭になくて、すべて可燃ゴミにするような人でした…。今は、すごく気にするようになりましたね。
2013年に鳥取環境大学の主催する論文コンテストに応募するため、環境系の論文を書いたんです。見て聞いて終わり、ではなく、研究したことを噛み砕いて周囲に伝わるようにアウトプットすることが好きになりました」(松丸さん)

生徒たちに託した、将来の環境へのバトン

ISO委員会の顧問である荘司孝志先生にも、お話をお聞きしました。
荘司先生は、立ち上げからこのサミットに携わってきたそうです。
「生徒の発案によって、他校の生徒や環境に興味のある人と交流するために立ち上げられたんです。第1回の開催時には参加者は60人くらいでしたが、年々増えて今では約250人が来てくださるようになりました」(荘司先生)

カーボン・オフセットの取組は2013年から始めたそうです。
「CO2は比較的簡単に計算できるんですよね。生徒たちにとっても、とっつきやすかったと思います。特に、中心になっている生徒たちはよく勉強していました。去年のCO2排出量を参考に今年の排出量を計算し、約1トンをオフセットする予定です」(荘司先生)

最後に、カーボン・オフセットへの想いをうかがいました。
「環境についてはさまざまな知恵や知識があり、科学も進歩し続けていますが、それらを今後どう扱っていくかについては、若い人たちに委ねられていると思います。一歩先へいかないといけないんですよね。そんな時、カーボン・オフセットは、環境のことを伝えるツールの一つとして力を発揮すると思います」(荘司先生)

卒業後、古賀さんは環境に力を入れている都内の大学への進学が、松丸さんは被服について学ぶための就職が、それぞれ決まっているといいます。
古賀さんは環境管理士などの環境系の仕事、松丸さんは舞台衣装のドレスなどを手がけ、環境に配慮したブランドを立ち上げることが夢なのだとか。
この高校から巣立ち、はばたいていくみなさんの将来が、楽しみです。

東京都立つばさ総合高等学校

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