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カーボン・オフセットの現場に潜入する

ビールという“工芸品”で環境貢献! ~株式会社協同商事 コエドブルワリーの「コエドビール」~

ビールという“工芸品”で環境貢献! ~株式会社協同商事 コエドブルワリーの「コエドビール」~

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな”声”が聞こえてきます。
今回は、カーボン・オフセットを導入したあるお祭りイベントへ。それもなんと、ビールのお祭りだといいます。
さぁ、行ってみましょう!

「コエドビール祭2015」に潜入!

2015年10月12日、埼玉県のさいたまスーパーアリーナにあるけやきひろばで、大きなイベントが開催されました。
その名も、「コエドビール祭2015」! 2007年から毎年、年に一度開催されています。

「コエドビール(COEDO)」とは、その昔「小江戸」と呼ばれていた埼玉県・川越の地で今もつくられている“小江戸発”のビールです。川越市を拠点とした株式会社協同商事 コエドブルワリーが販売しています。目を引くおしゃれなラベルデザインを知っている人も多いのではないでしょうか。

到着すると、子どもからシニアまで大勢が来て盛り上がっていました! 若者だけが集っているのではなく、幅広い年齢層が楽しんでいるのが新鮮です。会場を回ってみると、5種類ある「コエドビール」の生ビールや、「コエドビール祭2015」の限定ビールとして秋の果実ブドウを使用したフルーツビールが販売されていました。

ビールだけではありません。おいしそうな料理のお店が、ズラリと13店並んでいます。ワークショップなどもあり、子どもでも楽しめるコンテンツがあるところが親子連れに人気のようです。さらに、プロのミュージシャンによるライブでは、大勢の人がビールを片手にステージ前で音楽を楽しんでいます。多くの人が一つの場所に集まり、料理や音楽を楽しむ、まさに“祭”になっていました。

ビールの感謝祭をカーボン・オフセット

大いに盛り上がるステージ前に、代表取締役兼CEOの朝霧重治さんがいらっしゃいました。「このイベントは、face to faceでビールを楽しんで遊んでいただく場です。我々コエドビールからの感謝祭なんです」と朝霧さん。

焼きそばやたこ焼きといった一般的な出店ではなく、ビールに合う料理が提供されていることも、朝霧さんがこだわった点の一つだといいます。「コエドビール」を取り扱っている飲食店やプロの料理家が協力しています。

そして、今年から新しい試みとして、「コエドビール祭2015」にカーボン・オフセットを導入したそうです。「会場の電気使用や、スタッフ・アーティスト・出店者の移動によって排出されるCO2の相殺を行っています」と朝霧さん。

毎年1万人近くが来場するという人気イベントですが、約78人というボランティアが運営を支えています。
フィナーレでは、オリジナルの盆踊りだという「コエドビールダンス」をみんなで踊り、誰もが笑顔に。盛況のうちに終了したのです。

サツマイモと麦の有効活用のため誕生したビール

後日、川越市にある「COEDO Craft Beer 1000 Labo(コエド クラフトビール・ワンサウザンド・ラボ)」で、改めて朝霧さんにお話をお聞きしました。

「実は、ここが『コエドビール』の創業の地なんです。1996年に、川越で育まれたサツマイモのビールを醸造することに成功したのが、ここです。そもそも川越がサツマイモで有名になったのはどうしてか、ご存知ですか? 江戸時代、日本では戦がなくなって人口が増えました。食料を自給しないといけないため、使われていなかった土地が開墾されていったんです。そこで、お米を作りにくい地域でも栄養価の高い食べものを作ろうと模索され、薩摩藩に唐芋として伝わってきた芋を、サツマイモとして川越に植えたのだそうです。川越には隅田川の支流である新河岸川が流れていることから、サツマイモが船で江戸に届けられ、その後広まっていきました」(朝霧さん)

現代でも川越のサツマイモは有名で、和菓子などのスイーツがたくさん作られています。「コエドビール」の始まりは、先代が「廃棄されていた規格外品のサツマイモや、連作障害を防ぐための緑肥として栽培されていた麦を有効活用しよう」とビールを作り始めたことだったそうです。

「ここは今年6月にラボとしてオープンしました。主力の工場よりはるかに小さいのですが、1000リットルのタンクで小ロットの醸造が可能です。ラボ、つまり実験場として、醸造者のアイデアで試験醸造を行っています」(朝霧さん)

レストラン「香麦 xiangmai(シャンマイ)」も併設され、コエドビールと本格的な飲茶を楽しむことができる場になっています。

ビールづくりも農業の一部だから、環境貢献したい

イベントやラボなど、さまざまな取組を始め、躍進しているコエドブルワリー。カーボン・オフセットの導入のきっかけは何だったのでしょうか。

「弊社は、もともと有機野菜に特化した産地直送商社で、有機農業に取組んでいたバックグラウンドがあります。また、バイオマスを研究し、動物のふん尿のエネルギー化プロジェクトに関わっていたこともありました。食品産業として、有機性の廃棄物を微生物の働きでエネルギー化することに興味があったんです」(朝霧さん)

そんななか、ある企業からの紹介でカーボン・オフセットを知ったのだそう。

「麦を使うビールづくりも農業の一部です。農業は地球温暖化の影響をダイレクトに受けます。ビールメーカーだからおいしいビールをつくってさえいればいいのではなくて、地球環境に貢献できることがあればやってみたい。これからは自分たちがいいなと思うことをやろうと決めました」(朝霧さん)

そうして「コエドビール祭2015」でカーボン・オフセットに取組むことが決まり、クレジットには、埼玉県もくねん工房の木質ペレットを活用した化石燃料代替プロジェクトが選ばれました。

「私は生まれも育ちも川越です。クレジット購入先に埼玉県内を選んだのは、郷土愛ですね(笑)。同じ県内で活動していらっしゃる方がいるのなら応援させていただきたい、と思いました」(朝霧さん)

「地ビール」から「クラフトビール」への秘話

「コエドビール」は、現在「クラフトビール」として親しまれています。この「クラフトビール」、最近よく聞くワードの一つになりました。実は、その仕掛人が朝霧さんなのです。

「私は2003年に弊社の副社長になりました。その時、既にあったビール事業を魅力あるものにするためにどう蘇らせようかと考えましたね。なぜなら当時は『地ビール』と呼ばれていて、特産品や土産物のような扱いをされていたんです」(朝霧さん)

「地ビール」は一般人にとって、日常生活で楽しむものではない。それでも朝霧さんは改善点に気づいたことで、「道はある」と考えていたそうです。

「一般の方が地ビールに対して抱いているイメージや、事業の進め方などについて深く反省をし、新たにスタートしました。特に小規模で行うものづくりは、職人がしっかり育成されていないとできません。職人たちと原料や醸造学、微生物の管理などを学び、努力を積んでいきました」(朝霧さん)

その頃、朝霧さんはアメリカ人が作った「クラフトビール」という言葉に出会います。それは、マイクロブルワリー(小規模醸造所)がつくっているビールという意味をもっていました。

「クラフト(craft)とは、技巧、工芸などの意味です。その言葉に『いい言葉だな。ビールもアートではなく、工芸品だ』と感じ、2006年から『クラフトビール』として提案し始めたんです」(朝霧さん)

小さな一歩でも、集積すれば意味が生まれる

朝霧さんの提案は、徐々に若い世代の心をつかみ、「クラフトビール」ブームに。「コエドビール」は、それを牽引する存在として知られるようになったのです。

最後に、朝霧さんに環境への思いをお聞きしました。

「企業側も、お客様も、地球温暖化対策などの環境貢献を行うことを喜ぶ時代になっていると思います。でも、その活動を無理して行うのはよくない。活動自体がそういうことを内包しているほうがいいと思うんです。少なくとも、我々の『コエドビール祭』では何の無理もありません(笑)。エネルギーなど、環境に対してはいろいろな考え方がありますが、電力をこまめに消すなど、ローコストにするための小さな一歩は、集積すれば意味があります。小さくても、続けていれば変わるでしょう。『自分がやっても変わらない』とあきらめるのでなくて、できることを確実に積み重ねていきたいですね」(朝霧さん)

株式会社協同商事 コエドブルワリー

本社
〒350-1150
埼玉県川越市中台南 2-20-1

電話番号049-259-7735
ホームページhttp://www.coedobrewery.com/
COEDO Craft Beer 1000 Labo|コエド クラフトビール・ワンサウザンド・ラボ

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